JP Road mirage - Sumomo Toxin / すもも毒素

現在波乱の真っ只中です。そんな中で実際にしたこと、感じたことを書いていきます。これが誰かの助けになればうれしいです。

終身雇用と45歳リストラが日本企業を壊滅させる

お題「最近気になったニュース」

日本の雇用情勢が大きく変わろうとしています。

日本的経営のおわり

2019年5月に、経団連会長とトヨタ自動車の社長から、「日本では終身雇用制度が維持できない段階に来ている」という発言がされました。

これを聞いた時に、これでトヨタはつぶれるかな、と思いました。

さらに、業績が悪くなってもいない大企業が、次から次へと40代の社員のリストラを行うことを明言し、進め始めています。

これはつまり、企業にとって社員は貴重な資源ではなく、使い捨てるワーカーでしかなくなったと宣言したことになります。

日本的経営が強かったのは、昭和から平成にかけての時代に、日本企業が世界をリードしていたという事実で証明されています。
企業は日本的経営を信じ切れず、西欧的経営を進めていき、日本的経営を覇者たらしめていた、ゼネラリストとしての人的資源を手放してしまったのです。
他の先進国に比べて、この20年の日本の賃金の低迷は、本来従業員に還元すべき企業利益を、不況が怖いあまりに内部留保などでため込んでしまったためです。

それを理解できず、トヨタをはじめとする日本企業は、終わりのスイッチを押してしまったのです。

終身雇用がなくなることで個人に起こること

終身雇用がなくなることで、企業で働いている人間に起こることは、はっきりしています。

  • 現在働いている会社でいつまで働けるかがわからなくなる
  • 常に不安定な将来に怯え続けなければならなくなる
  • 長期ローンは組めなくなる
  • 今の会社を辞めたあとに働ける方策を考える
  • 会社に対する忠誠心は皆無になる

けっして望ましい始まり方ではありませんが、これにより、企業と従業員の立場は現在より対等に近くなります。
会社に対して長期の雇用の保障がなくなる代わりに、会社は自分の能力に対して今の給料を払っているだけで、この能力は他社に対して提案することもできることになると理解できるからです。

これまでは自分を育ててくれた会社に恩義を返すという意識があったため、会社の危機には社員が一致団結して対応するということがありましたが、今後は企業が危なくなれば、すぐに次の働き先を捜せばいいことになります。

条件がよければ、現在のスキルを持って、日本企業でも海外企業でも関係なく可能性を試すことができるということです。

終身雇用がなくなることで企業に起こること

終身雇用がなくなることで企業に起きること

  • 社員を自由に辞めさせられるので、人事コストをコントロールできる
  • 社員の会社に対する忠誠度はなくなる
  • 高額の製品は、ローンが組めなくなるので売れなくなる
  • 有能な社員はより条件のいい企業に転職できるようになる
  • ゼネラリストを養成しようとしても、企業独自の文化を引き継ごうという社員はいなくなる

高額製品を買うのが不可能になる

トヨタがつぶれるかと思った理由は、トヨタが自分の利益回収モデルを破壊する行動に出たからです。

トヨタの社員は、自分の会社に誇りを持ち、自分の会社の車を買うことに喜びを感じていました。

しかし、給与は他の先進国に比べて頭打ちで、実質マイナスになり、終身雇用が望めなくなることで自動車を買うためのローンを組めなくなります。

つまり、本業の自動車を買ってくれる人たちが、車を消費できなくなるのです。

トヨタ以外の会社員も、トヨタが終身雇用を維持できないのなら、うちの会社だってできなくなるだろうと考え、自動車を購入するためのローンを組まなくなります。

国内での自動車に対する消費意欲が、自動車関係企業からなくなってしまうのです。

自動車という製品の変化

海外での販売に重点を移したとしても、ヨーロッパでは今後10年以内に化石燃料を使うエンジンの使用が禁止されます。すでにロードマップが出されており、この動きは変わりません。

電気自動車などが主流になった時、現在のガソリンエンジンで動く車の開発。製造ノウハウは意味を持たなくなります。
ガソリンのハイパワーで動かす前提の車体は、効率を重視する電気自動車にはオーバークオリティで重すぎるし、パワーの伝達方式も全く変わってしまいます。

テスラやグーグルがすでに実走車を世に出してきており、今後10年の間に強固なノウハウを獲得するでしょう。その時に、重くて効率の悪いガソリンエンジンベースの車体は不要になるのです。

国内で売れず、海外で売れないとなれば、いくら効率よく自動車を製造したとしても、それを購入してくれる人間はいなくなり、企業の存続は絶望的になります。

消費性向の変化

他の企業も、40歳になってリストラされるとわかっていれば、消費しようという意欲はなくなります。
物を作り、用意しても、購入してくれる人がいなくなれば、ゴミと変わりません。

日本企業は、家電、自動車もすでに壊滅状態になっていますが、それ以外の業界についても今後さらに終わりに向かって進んでいくことになります。

サービス業も、サービスを購入できる消費者がいなくなっていくので、同様の未来をたどることになります。

今、すぐに個人がやらなければならないこと

日本的経営を日本企業が放棄し始めた今、個人は何をやらなければいけないでしょうか。

自分の持っているスキルを上げる

現在所属している会社でしか有効でないスキルは不要です。明日に自分を解雇するかもしれない企業のために使う時間は最小限にしましょう。そのようなスキルを上げる努力はすべて捨てて、業界内で共通に評価されるスキルの向上を図りましょう。
次の企業を捜すときに、そのスキルは強い戦力になります。

副業を始める

副業を始めるのも有効です。
ネットで簡単にできる副業を提供しているクラウドワークスやランサーズといった、クラウドソーシングに登録し、実際に仕事を始めなくてもいいので、求められているスキルを眺めてみましょう。

その中で自分にできそうなものを見つけて、少しずつ受注していくと、多くの発注者から求められているスキルがわかってきます。そうしたら、そのスキルを伸ばすための勉強を始めましょう。

収入のルートを増やしていく

副業のスキルをいくつか伸ばすことができれば、今の会社から見捨てられた時にも、目の前を真っ暗にして右往左往することはありません。
次の就職ができるまでの間、それらのスキルがあなたを助けてくれます。
場合によっては、それらのスキルを本業とする選択肢もあります。

 

日本企業はあなたを救ってはくれません。
自分で自分を救う方策を、少しでも早く考え、進めていきましょう。